映画祭の見どころ
『フェモクラシー』
今年のドイツ映画祭では圧力に屈せず自分らしく挑戦する女性を描いた作品や女性監督による作品が集まっています。「道を拓く女たち」を映画祭のテーマに掲げ、5本の劇映画と2本のドキュメンタリーをラインナップ。政治の世界の女性を追った『フェモクラシー』、差別に負けないベルリンの若者を描いた『私はニコ』、不法拘束された息子を取り返すべき母親が奔走する『クルナス母さんvs.アメリカ大統領』など、状況や問題はそれぞれでありながら、世の中の不平等に向き合う女性たちの姿があります。そのように挑戦する女性達はカメラの後ろにも存在します。例えば、女性監督によるドキュメンタリー映画 『バッハマン先生の教室』は、独特の教育法で生徒と接するバッハマン先生のクラスを通じて、多文化社会の共生について、教育の未来への示唆に富んでいます。他にも、何気ない会話に人間観察の鋭さが含まれる『あしたの空模様』や、視線や仕草に主人公女性の心情を描き出した『焦燥の夏』など、制作側においても女性の活躍が注目されます。
映画祭受賞作品の数々をセレクション
2022年のドイツ映画賞を9部門受賞で、まさに総なめにした『ディア・トーマス 東西ドイツの狭間で』、同賞でやはり複数受賞をしている『クルナス母さんvs.アメリカ大統領』はベルリン映画祭でも2部門で銀熊を受賞。その前年に銀熊を受賞した『バッハマン先生の教室』もドイツ映画賞で最優秀ドキュメンタリー賞を獲得しています。『焦燥の夏』のサスキア・ローゼンタールは、ロカルノ映画祭で 最優秀女優賞に輝きました。他にも多数の国内外の映画祭で評価が高い本映画祭のラインアップより、今回は、特に国際映画祭で高く評価された2作品を紹介します。
『クルナス母さんvs.アメリカ大統領』
『クルナス母さんvs.アメリカ大統領』は、近年日本でもファンが増えているアンドレアス・ドレーゼン監督による最新作。社会・政治的なテーマを個々人の視点から人間的に描きだすドレーゼン監督ならではの実話をもとにした作品です。
『バッハマン先生の教室』
『バッハマン先生の教室』は、217分という長編ながら観るものを飽きさせない異色のドキュメンタリー。少し離れたところから眺めるように登場人物により沿い、観客はあまりに自然体な先生や子ども達の魅力に引き込まれていきます。
<ドイツ映画祭 HORIZONTE 2023>開催概要
HORIZONTE 2023- FESTIVAL DES DEUTSCHEN FILMS
開催期間:4月20日(木)〜23日(日)
会場:ユーロライブ(渋谷) 渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F
主催:ゲーテ・インスティトゥート東京、共催:German Films
協力:ドイツ連邦共和国大使館、ユーロスペース
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