ブロードキャスター、ピーター・バラカン氏が選ぶ音楽映画フェスティヴァル
今回は、全31作品の豪華なラインナップで開催されます。注目作は1981年ロンドンのスカリヴァイヴァル~2トーンスカムーヴメントの熱狂を捉えたドキュメンタリーで、今年4Kレストア化され、ロンドンで上映されたことも話題になった『Dance Craze /2 Toneの世界 – スカ・ オン・ステージ!』、アルジェリア出身の映画監督トニー・ガトリフによる、濃厚な音楽が散りばめられたロードムービー『ジャム DJAM』、去年話題を呼んだレゲエ・ムービー『バビロン』のフランコ・ロッソ監督作品『Dread Beat and Blood/ダブ・ポエット リントン・クウェシ・ジョンスン』、今年のLive Magic(バラカン氏が監修するフェスティヴァル)で久しぶりに来日が決定しているジョン・クリアリーのライヴをとらえた『ジョン・クリアリー@Live Magic 2018』、1960年代にエチオピアで文化革命を巻き起こしたミュージシャン達の音楽に迫る『エチオピーク 音楽探求の旅』、アメリカ南部のあらゆるルーツ・ミュージックを記録し続けたクリス・ストラクウィツの活動をおさめた、生きた文化史的作品『ルーツを掘る – アーフーリー・レコード物語』。いずれも日本初の劇場公開です。そして、9/22(金)より公開の『クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル トラヴェリン・バンド』、10/6(金)より公開の『リバイバル69 ~伝説のロックフェス~』もプレミア上映が決定!他にも近年公開され大反響を巻き起こした作品やなかなか上映機会のない作品など、多彩な驚きや魅力に触れることのできる、音楽ファンも映画ファンも必見のラインナップになっています。
ピーター・バラカン氏のコメント
3年目を迎えた音楽映画祭、今年は期間も長く、3週間の開催となります。また作品の数は以前よりも多く、31本紹介しますが、そのうち8本は日本で初めて映画館のスクリーンに登場します。しかも『リバイバル69 〜伝説のロックフェス〜』 と『クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル トラヴェリン・バンド』 は公開前のプレミア・ショウです。今回はアカデミー賞受賞作もかなりマニアックな作品もあります。いつものようにジャンル的に様々な映画があり、エチオピア、インド、パキスタン、ギリシャ、ルーマニア、ジャマイカ、ブラジル、アイルランドを含む国際的なライン・アップになっています。暑い日が続く季節、涼しい映画館で少しでも多くご覧ください。有楽町で会いましょう!
上映作品&ピーター・バラカン氏による紹介コメント
『Dance Craze /2 Toneの世界 – スカ・ オン・ステージ!』
Dance Craze
1981年 / 50分 / イギリス
監督:ジョー・マソット
出演:ザ・スペシャルズ、マッドネス、ザ・ビート、ザ・ボディスナッチャーズ、ザ・セレクター
1980年に大流行したスカ・リヴァイヴァルを体現したバンドのライヴだけで綴った楽しいコンサート映画です。ザ・スペシャルズ、マッドネス、ザ・ビート、ザ・セレクター、ザ・ボディスナッチャーズ、バッド・マナーズの6組が1曲ごとに交代し、踊らずにはいられない強烈なスカ・ビートが続きます。特にスペシャルズのオリジナル・メンバーによる演奏はゴキゲンです。
©︎ Chrysalis Records Limited.
『ジャム DJAM』
Djam
2017年 /97分 / フランス、ギリシャ、トルコ
監督:トニー・ガトリフ
出演:ダフネ・パタキア、シモン・アブカリアン、エレフセリア・コミ、ヤニス・ボスタンツォーグロウ
トニー・ガトリフの2017年の作品。相変わらず音楽ありきのロード・ムーヴィーです。今回の舞台はギリシャとトルコ。エーゲ海の演歌のような大衆音楽レンベティカが随所に聞こえてくる背景で、ジャムという若い女性は父のボートの壊れた部品を買いにイスタンブルへ。そこで出会ったフランス人女性アヴリルとつるんで2人で帰ってくる道は脱線だらけです。
© 2017 Princes Productions – Pyramide Productions – Auvergne-Rhône Alpes Cinéma – Blonde – Güverte Films – Princes Films
『Dread Beat and Blood/ダブ・ポエット リントン・クウェシ・ジョンスン』
Dread Beat and Blood
1979年 / 44分 / イギリス
監督:フランコ・ロッソ
出演:リントン・クウェシ・ジョンスン
11歳でジャマイカからロンドンに移住したリントン・クウェシ・ジョンスンはジャマイカ訛りの詩をレゲェのビートに乗せる「ダブ・ポエット」として活動、差別を受けながらも生き生きとした音楽を生んだカリブ文化を伝えます。
1979年にデビューした時期の彼を追ったこのドキュメンタリーでは音楽活動の他に人種問題に取り組んだ雑誌の編集者としての姿も見ることができます。
© 1979 The British Film Institute
『ジョン・クリアリー@Live Magic 2018』
Jon Cleary Trio with Nigel Hall Live in Tokyo, October 21st, 2018
2018年 / 80分 / 日本
監督:Shotaro Takahashi
出演:ジョン・クリアリー、カーネル・ウィリアムズ、A.J.ホール、ナイジェル・ホール
2023年のLive Magic(ぼくが監修するフェスティヴァル)で5年ぶりに来日するジョン・クリアリーは長年ニュー・オーリンズを拠点にファンキーな活動を続ける素晴らしいピアニストです。2018年に同じフェスで撮影した演奏をDVDで発売中ですが、この度さらに高画質ヴァージョンを大きいスクリーンで上映することにしました。これを見てぜひライヴの方にも足を運んでいただきたいです!
©︎2020 629inc.
『エチオピーク 音楽探求の旅』
Ethiopiques – Revolt Of The Soul
2017年 / 70分 / 独、ポーランド、エチオピア、仏、米
監督:マチェイ・ボシュニャク
出演:フランシス・ファルセト、アムハ・エシェテ、ギルマ・ベイェネ
アフリカ大陸の中でどことも異なった音楽文化を持つエチオピアの大衆音楽が自由に栄えたのは1960年代後半から70年代半ばまでの短い期間でした。90年代に、それまで知られていなかったその驚くべき音楽と偶然出会ったフランシス・ファルセトというフランス人の研究によって、エチオピアの音楽がいかにして世界で聴かれるようになったかを描いたドキュメンタリーです。
© HBO Europe s.r.o. / Pokromski Studio Sp. z o.o. Sp. k. /
『ルーツを掘る – アーフーリー・レコード物語』
This Ain’t No Mouse Music – The Story Of Chris Strachwitz and Arhoolie Records
2013年 / 92分 / アメリカ
監督:クリス・サイモン、 モーリーン・ゴスリング
出演:ライ・クーダー、ライトニン・ホプキンス、タージ・マハル、ボニー・レイット
ドイツからの移民だったクリス・ストラクウィツ(2023年死亡)は1960年にサン・フランシスコ近辺で設立したアーフーリー・レコードで、数十年にわたってアメリカ南部のあらゆるルーツ・ミュージックを記録し続けました。利益などをほとんど度外視し、自分で現地録音したおびただしい数のレコードを発売してきたクリスの貴重な活動を追ったドキュメンタリーです。
© Sage Blossom Productions
『クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル トラヴェリン・バンド』
Travelin’ Band – Creedence Clearwater Revival at the Royal Albert Hall
2022年/ 86分 / アメリカ
監督:ボブ・スミートン
出演:クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイバル(ダグ・クリフォード、スチュ・クック、ジョン・フォガティ、トム・フォガティ)、ジェフ・ブリッジス(ナレーション)
配給:オンリー・ハーツ
CCRが行った1970年のヨーロッパ・ツアーは有名なライヴ・アルバムで記録されましたが、4月14日ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでの公演では映像も撮影されていました。50年以上を経てその姿がいよいよ公開されることになったのです。前半はジェフ・ブリジズが語るバンドの歴史、後半は40分ほどの熱演がそのまま展開されます。(1回のみのプレミア・ショウ)
© 2022 Concord Music Group, Inc.
『リバイバル69 ~伝説のロックフェス~』
Revival69: The Concert That Rocked The World
2022年/99分/カナダ、フランス
監督:ロン・チャップマン
出演:ジョン・レノン&ザ・プラスティック・オノ・バンド、チャック・ベリー、アリス・クーパー
提供:東北新社/バップ 配給:STAR CHANNEL MOVIES
ジョンとヨーコのプラスティック・オノ・バンドの初ライヴということで有名なトロントの1969年のロックンロール・フェスティヴァルがどのようにして開催されたか、そうとう危ない橋を渡った関係者たちの無謀な計画が最後の最後になって実を結んだ奇跡のような物語です。チャック・ベリー、リトル・リチャードなどの熱演も多数。(1回のみのプレミア・ショウ)
© ROCK’N ROLL DOCUMENTARY PRODUCTIONS INC., TORONTO RNR REVIVAL PRODUCTIONS INC., CAPA PRESSE (LES FILMS A CINQ) 2022
<本映画祭初上映>
『ビー・ジーズ 栄光の軌跡』/ 『チャーリー・イズ・マイ・ダーリン』/『ソングス・フォー・ドレラ』『シェイン 世界が愛する厄介者のうた』/『コーダ あいのうた』/『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』/『アザー・ミュージック』/『ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック』/『響け!情熱のムリダンガム』/『ZAPPA』/『ソング・オブ・ラホール』/『ジョン・レノン 音楽で世界を変えた男の真実』/『ロッカーズ』/『ガッジョ・ディーロ』/『ザ・コミットメンツ』/『ブラジル・バン・バン・バン』
<その他アンコール上映>
『AMY エイミー』/『BILLIE ビリー』/『MONK モンク | モンク・イン・ヨーロッパ』/『ジャズ・ロフト』/『ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち』/『ブリティッシュ・ロック誕生の地下室』/『バビロン』
<Peter Barakan’s Music Film Festival 2023>開催概要
日時: 2023年9月1日(金)―9月21日(木)
会場: 角川シネマ有楽町(東京都千代田区有楽町1-11-1 読売会館8階)
料金:一般/2,000円 シニア/1,300円 大学生/1,500円 映画サービスデー(毎月1日)・水曜サービスデー・日曜最終回/1,300円
TCGメンバーズカード割引/【土・日・月・金曜】1,400円【火・木曜】1,200円
主催: マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム、VALERIA
配給: コピアポア・フィルム
公式サイト