【映画イベント】米国インディペンデント映画の先駆的作品が国内劇場初公開!「ベット・ゴードン エンプティ ニューヨーク」11月16日より渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開

【映画イベント】米国インディペンデント映画の先駆的作品が国内劇場初公開!「ベット・ゴードン エンプティ ニューヨーク」11月16日より渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開

米国インディペンデント映画の先駆者の一人、ベット・ゴードン。1970年代末から80年代にニューヨークのアンダーグラウンドで起こった音楽やアートのムーブメント「ノー・ウェイヴ」周辺で活動した映画作家であり、「セクシュアリティ」「欲望」「権力」をテーマにした大胆な探求と創作を行っています。その初めての長編作品『ヴァラエティ』(1983)と、中編『エンプティ・スーツケース』(1980)及び短編『エニバディズ・ウーマン』(1981)が、特集企画「ベット・ゴードン エンプティ ニューヨーク」と題され、一挙公開されることとなりました。すべての作品が国内劇場初公開となります。

過小評価され埋もれていた「未知」の映画作家ベット・ゴードン

これまで日本での紹介が極めて少なかった映画作家ベット・ゴードン。今回の劇場公開はこの「未知」の作家を発見し、その作品世界と作家性に触れる機会となります。ゴードンは自身の創作に影響を与えた人物として、ジャン=リュック・ゴダール、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、ミケランジェロ・アントニオーニ、ジョン・カサヴェテスなどの映画作家たち、フランスの映画批評家アンドレ・バザン、そしてフェミニスト映画理論家ローラ・マルヴィの名を挙げています。また、シャンタル・アケルマンやウルリケ・オッティンガーらと共にオムニバス映画『Seven Women, Seven Sins』(1986・日本未公開)に参加していることからも、ゴードンがフェミニスト映画理論などを踏まえた、現代的で批評的な映画制作を実践する作り手であることが伺えます。

ポルノ映画館を舞台にし「女の欲望」を描き物議を醸した挑発的作品『ヴァラエティ』
キャシー・アッカー、ナン・ゴールディン、ジョン・ルーリーなど80年代NYアンダーグラウンドシーンのスターが集結

本企画の中心的な作品となる長編第一作『ヴァラエティ』は、これまでフェミニズム映画の文脈で捉えられながらも、「ポルノ」「ポルノ映画館」を取り上げてるために初公開当時から物議を醸し、さまざまな議論を起こしてきました。この「挑発的」「攪乱的」とも言えるゴードンの企みにさまざまな才能が集結。脚本は実験的な小説家として日本でも1990年代に盛んに翻訳書が刊行されたキャシー・アッカー(『血みどろ贓物ハイスクール』)が担当。撮影はジム・ジャームッシュ監督『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)などで知られるトム・ディチロが担っています。音楽は、ジョン・ルーリー。ディチロと共に初期ジャームッシュ組の重要人物であるルーリーが関わっていることからも、当時のニューヨークのインディペンデント映画を取り巻く状況、ひいてはアンダーグラウンドなアートシーンが垣間見られる作品とも言えます。そして、ドキュメンタリー映画『美と殺戮のすべて』の被写体となった写真家のナン・ゴールディンが出演。本作制作時にスチール写真の撮影に携わっています。
中短編2作品は、ゴードンの初期のキャリアである実験映画作家としての側面が色濃く出ています。『エンプティ・スーツケース』は国際映画祭などで上映されて高く評価され、『ヴァラエティ』制作への足がかりとなった作品です。この作品でもナン・ゴールディンが出演、参加しています。また、『エニバディズ・ウーマン』は映画館「VARIETY PHOTOPLAYS」を舞台に制作され、長編『ヴァラエティ』のプロトタイプと呼べる作品であり、直接的な繋がりを持つ内容となっています。

<作品詳細>

【映画イベント】米国インディペンデント映画の先駆的作品が国内劇場初公開!「ベット・ゴードン エンプティ ニューヨーク」11月16日より渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開

『ヴァラエティ』
原題:Variety 1983年/米国/100分/2K修復 国内劇場初公開
監督・原案:ベット・ゴードン/脚本:キャシー・アッカー/製作:ルネ・シャフランスキー/撮影:トム・ディチロ、ジョン・フォスター/編集:イラ・フォン・ハスペルク/音楽:ジョン・ルーリー/出演:サンディ・マクロード、ウィル・パットン、リチャード・デヴィッドソン、ルイス・ガスマン、ナン・ゴールディン、クッキー・ミューラー

ベット・ゴードン監修によるオリジナルネガをもとにした2K修復版
ニューヨーク、タイムズ・スクエア近くのポルノ映画館「Variety」。チケットを売る女性クリスティーン(サンディ・マクロード)は、ある日一人の男性客と言葉を交わす。以来、彼女はその男を追いかけるようになる…。アルフレッド・ヒッチコック『めまい』(1958)に想を得た物語。脚本は実験的な小説家のキャシー・アッカー(『血みどろ贓物ハイスクール』)が担当。撮影をジム・ジャームッシュ監督『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)などで知られるトム・ディチロ。写真家のナン・ゴールディン、ウィル・パットン(『ミナリ』)、ルイス・ガスマン(『ブギーナイツ』1997)、ジョン・ウォーターズ作品常連のクッキー・ミューラーらが出演。そして、音楽を当時「ラウンジ・リザーズ」で活動していたジョン・ルーリーが担当している。ニューヨークのアンダーグラウンドなアートシーンから生まれた、ゴードンの代表作。

©1983 Variety Motion Pictures. All Rights Reserved. ©Kino Lorber, Inc. All Rights Reserved.

【映画イベント】米国インディペンデント映画の先駆的作品が国内劇場初公開!「ベット・ゴードン エンプティ ニューヨーク」11月16日より渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開

『エンプティ・スーツケース』
原題:Empty Suitcases 1980/米国/52分 国内劇場初公開
監督:ベット・ゴードン/撮影補:デヴィッド・ワーナー/録音補:ヘレン・カプラン/脚本補:カリン・ケイ/出演:ローズマリー・ホックシールド、ロン・ヴォーター、ヴィヴィアン・ディック、ナン・ゴールディン、ヤニカ・ヨーダー、ジェイミー・マクブレイディ、ベット・ゴードン/声:リン・ティルマン、カリン・ケイ、アネット・ブレインデル、ドロシー・ザイドマン、マーク・ブーン・ジュニア

職場のあるシカゴと恋人がいるニューヨーク。2つの都市を行き来する女性が抱える疎外感と孤立感が考察される実験的作品。写真家ナン・ゴールディンや映画作家ヴィヴィアン・ディックなど「ノー・ウェイヴ」周辺のアーティストが出演。国際映画祭などで上映され高い評価を得た。

【映画イベント】米国インディペンデント映画の先駆的作品が国内劇場初公開!「ベット・ゴードン エンプティ ニューヨーク」11月16日より渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開

『エニバディズ・ウーマン』
原題:Anybody’s Woman 1981/米国/24分 国内劇場初公開
監督:ベット・ゴードン/出演:ナンシー・レイリー、スポルディング・グレイ、マーク・ブーン・ジュニア、トム・ライト/ナレーション:カリン・ケイ

長編『ヴァラエティ』に先駆けて、ニューヨークのポルノ映画館「Variety」を舞台に作られた短編作品。タイトルは、サイレント期から活躍した女性映画監督ドロシー・アーズナーによる1930年製作の同名のハリウッド映画作品(日本では『夫なき妻』のタイトルで公開)に由来する。

「ベット・ゴードン エンプティ ニューヨーク」

【映画イベント】米国インディペンデント映画の先駆的作品が国内劇場初公開!「ベット・ゴードン エンプティ ニューヨーク」11月16日より渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開

2024年11月16日より渋谷シアター・イメージフォーラム、今冬大阪シネ・ヌーヴォほか全国順次公開
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