江戸時代に隆盛を極め、明治時代に禁じられた絢爛たる文化“春画”をモチーフにした話題の映画2作、10月13日公開の『春画先生』と、11月24日公開のドキュメンタリー映画『春の画 SHUNGA』の公開を記念して、映画2作中に登場する葛飾北斎等の作品をはじめとする江戸時代の貴重な春画を展示する「銀座の小さな春画展」が、映画館シネスイッチ銀座が運営するギャラリーアートハウスにて開催されます。
北斎、歌麿、国芳、国貞などの春画約50点を展示
2015年東京で開催され21万人の動員を誇った「春画展」から8年。ここから影響を受けて製作された2作品の映画『春画先生』と『春の画 SHUNGA』の公開を記念する本展。2013年ロンドン大英博物館の「春画展」のスポンサーであり、2015年東京・永青文庫の「春画展」で中心的役割を果たした浦上蒼穹堂の浦上満氏の監修のもと、両2作の映画内に登場し、現在も世界中のさまざまなアニメ、映画、漫画、アート作品に影響を及ぼしつづける葛飾北斎「喜能会之故真通」“蛸と海女”をはじめ、喜多川歌麿、勝川春潮、 歌川国芳、歌川国貞など豪華浮世絵師の作品など江戸時代の春画約50点を木版画である大判錦絵、半紙本、豆判、そして肉筆画などバラエティに富んだラインナップで間近に鑑賞することができます。
映画2作から広がる春画の世界が実作品の鑑賞となる極上体験
『春画先生』では、劇中で内野聖陽演じる“春画先生”が春画を性器だけにとらわれずに見ると新たな発見があると、“笑い絵”ともいわれた春画の楽しみ方を語り、物語そのものが春画のクリエイションへのオマージュとなっています。そしてドキュメンタリー映画『春の画 SHUNGA』は識者やアーティスト達がさまざまな切り口で多様な春画を解説し、春画への思いを語り尽くしています。両作品には浦上蒼穹堂の協力を得て、葛飾北斎の「喜能会之故真通」“蛸と海女”がそれぞれ重要な位置づけで登場します。映画館で観たばかりの名画の実物が同じ時期に実際に鑑賞できるという、この上ない体験の機会となります。他にも映画内で登場する作品や絵師、歌麿、春潮などの作品を間近に鑑賞できることは、映画の公開と同じタイミングで展示がされる今回限りです。本展は入場年齢18歳以上で開催となります。映画の指定区分は、『春画先生』が【R15+】、『春の画 SHUNGA』は【R18+】となり、両作には無修正で多数の春画が映し出されています。
映画館シネスイッチ銀座が運営する新設の“ギャラリーアートハウス”が会場
1955年に“銀座文化劇場”として誕生し、長い歴史をもつ劇場“シネスイッチ銀座”が、同ビル内で新しいギャラリー“ギャラリーアートハウス”の運営を開始します。本展は同ギャラリーの初展示企画となり、銀座という文化の発信地で春画が展示される企画展が開催されるのは、2019年3月に開催されたシャネル・ネクサス・ホールでの「ピエールセルネ&春画」以来となります。コロナ禍を経て再び銀座で春画を鑑賞できる機会となります。シネスイッチ銀座では 10月13日より『春画先生』、11月24日より『春の画 SHUNGA』の2作品が共に公開されます。(*10月23日〜11月1日まで『春画先生』は休映)
「銀座の小さな春画展」開催概要
主催:カルチュア・エンタテインメント シネスイッチ銀座 浦上蒼穹堂
共催:「春画先生」製作委員会 「春の画 SHUNGA」製作委員会
協力:銀座 蔦屋書店
<主な出展作>
前期:10/21(土)-11/15(水) 「喜能会之故真通」葛飾北斎、「好色図会十二候」勝川春潮 など
後期:11/16(木)-12/17(日) 「喜能会之故真通」葛飾北斎、「男女色交合之絲」勝川春潮 など
その他予定作品:磯田湖龍斎「色道取組十二番」、勝川春章「拝開よぶこどり」、喜多川歌麿「願ひの糸ぐち」/「小町引」 葛飾北斎「万福和合神」、歌川国貞「恋のやつふぢ」/「吾妻源氏」、歌川国芳「逢見八景」 他
*前期・後期で展示内容が変わります。 *展示作品等、展覧会の詳細については、今後の諸事情により変更する場合があります。
〈会期〉2023年10月21(土)~12月17日(日)
前期10月21日(土)―11月15日(水)/後期11月16日(木)―12月17日(日)
〈開場時間〉AM:10:00―PM:7:00
〈会場〉ギャラリーアートハウス(映画館シネスイッチ銀座横) 東京都中央区銀座4丁目4−5 籏ビル
〈交通アクセス〉地下鉄銀座駅A10番から徒歩1分(和光ウラ通り)/JR有楽町駅銀座口から徒歩10分
〈入場年齢〉18歳以上
〈観覧料〉¥1000 <日時指定予約制>
*チケットはオンライン予約サイトでの予約購入をオススメします。
*当日券あり。ただし数量限定につき、ご来場時に予定枚数が終了している場合があります。
*混雑を回避するため、20分毎に限定人数の入場をご案内します。
*詳しい入場方法はチケット予約サイトでご確認ください。
提供:浦上蒼穹堂
映画『春画先生』
2023年10月13日より全国公開中
R-15+
監督・原作・脚本:塩田明彦
出演:内野聖陽/北香那/柄本佑/白川和子/安達祐実
配給:ハピネットファントム・スタジオ
<あらすじ>
“春画先生”と呼ばれる変わり者で有名な研究者・芳賀一郎は、妻に先立たれ世捨て人のように、一人研究に没頭していた。退屈な日々を過ごしていた春野弓子は、芳賀から春画鑑賞を学び、その奥深い魅力 に心を奪われ芳賀に恋 心を抱いていく。やがて芳賀が執筆する「春画大全」を早く完成させようと躍起になる編集者・辻村や、芳賀の亡き 妻 の姉・一葉の登場で大きな波乱が巻き起こる。それは弓子の“覚醒”のはじまりだった―。
©2023「春画先生」製作委員会
映画『春の画 SHUNGA』
2023年11月24日より全国公開
R-18+
監督:平田潤子
出演:横尾忠則/会田誠/木村了子/石上阿希/早川聞多/浦上満/アンドリュー・ガーストル/ミカエル・フォーニッツ/橋本麻里/朝吹真理子/春画ール/ヴィヴィアン佐/ 樋口一貴/高橋由貴子/山川良一
朗読:森山未來/吉田羊
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
<あらすじ>
葛飾北斎、喜多川歌麿、鈴木春信……江戸の名だたる浮世絵師たちが、並々ならぬ情熱を注いだ「春画」。絵師・彫師・摺師の才能と高度な技術により、「美」「技」において超一級の芸術と呼べる作品が数多く生み出されたが、明治時代に入ると“わいせつ画”として警察による取り締まりの対象となり、表舞台から姿を消した。再評価の機運が高まったのは、つい最近のこと。春画に描かれている性愛のかたちは驚くほど多彩かつ、必ずしも性愛だけを描くわけでもない。そこには歓喜と興奮、情熱と悲哀、嫉妬、駆け引きなど人間味あふれるドラマや、春画が「笑い絵」と称されるとおり、ユーモアをもって描かれる「生命」そのものの魅力に引き込まれずにはいられない。いまだ知られざる部分も多い春画の世界にカメラが分け入り、あらゆる角度からその奥深い魅力を追って捉えたものは、現代人が知らなかった<日本の姿>だった――。100点以上に及ぶ春画と、国内外の美術コレクターや浮世絵研究家、美術史家、彫師、摺師などへの取材をもとに、表情豊かに描かれる「性」と「生」を発見する驚きのドキュメンタリー。
©2023『春の画 SHUNGA』製作委員会