今回は近日リバイバル上映予定の作品をまとめて紹介します。劇場で見られる貴重な機会をお見逃しなく!!
スイス映画界の巨匠アラン・タネールの幻の傑作『光年のかなた』と『白い町で』7月19日(土)より2週間限定上映

スイス映画界の巨匠アラン・タネールの幻の傑作『光年のかなた』(1981)と『白い町で』(1983)の 4K レストア版ブルーレイ BOXが、2025年7月25日(金)に国内初リリースされます。その発売を記念し、7月19日より渋谷ユーロスペースにて2週間限定で上映されます。

『光年のかなた 4K レストア』
2025年6月13日よりStranger、近日中京都シネマにて上映
1981年カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞
主演:トレヴァー・ハワード、ミック・フォード
1981年/スイス=フランス/108分
アイルランドの田舎を舞台に、青年ジョナスと大空を夢見る風変わりな老人の交流をファンタ ジックに描いたアラン・タネールの長編第7作。スイスの作家ダニエル・オディエの小説「野性の道」(1978)を原作としたタネール初の英語作品。〈ここではないどこか〉を希求する老人と、彼に心惹かれ手助けをする青年。タネールはこれまでも社会から逸脱し、自身の主義のために世界に抗う人物たちを愛おしく、そして時に鋭い視線で描いてきた。この眼差しは小説の映画化の本作においても、作品内にしっかりと「タネール映画」の刻印が刻みこまれている。主演はデイヴィッド・リーン監督の『逢びき』(1945)や キャロル・リード監督『第三の男』(1949)などで知られる名優トレヴァー・ハワード。変わり者の老人ヨシュカをエキセントリックかつチャーミングに演じる。本作は、2021年8月にリマスターされた4K レストア版、日本初上映。
©All rights reserved to The French Connection, 2025

『白い町で 4K レストア』
1984年セザール賞最優秀作品賞受賞/1983 年ベルリン国際映画祭金熊賞ノミネート
出演:ブルーノ・ガンツ、テレーザ・マドルーガ
1983年/スイス=ポルトガル/109分
夏。陽の光を反射させ白く輝く迷路のような町をあてどなく放浪する一人の男。「自由とは 何か?」。自己に深く潜り込み、日常と時の流れから離脱しようとする男の旅路を、柔らかな光線で詩情豊かに綴った紀行エッセイ的アラン・タネール長編第8作。タネールは詳細な脚本は執筆せず、頭に浮かんだ風景、言葉、感情、記憶を自由に連想させ、また併せて俳優たちも 即興的な演技を披露して撮影されたという。これまでのキャリア上最も意欲的かつパーソナルな内容であり、同時に観るものの感性を揺さぶる美しい作品に仕上がっている。主演は数々の世界的巨匠の作品に出演した名優ブルーノ・ガンツ。人生の倦怠から逃れようとする主人公ポールを、悲哀とユーモアの絶妙なバランスで演じている。本作は、2019年8月にリマスターされた4K レストア版で上映。
© Filmograph – Alain Tanner. Collection Cinémathèque suisse.
配給:アート・アンサンブル
公式サイト
毎月24日はA24の日!第7弾は、『aftersun/アフターサン』と『mid90s ミッドナインティーズ』併映

2023年10⽉、ニューヨークを拠点とする独⽴系スタジオA24とパートナーシップ契約を締結したハピネットファントム・スタジオ。今年1⽉より、TOHOシネマズの劇場にて毎⽉24⽇に<制作:A24×配給:ハピネットファントム・スタジオ作品>の特別上映がスタートしました。第7弾となる7⽉24⽇(木)には、『aftersun/アフターサン』に加え、『mid90s ミッドナインティー
ズ』の上映!
A24×TOHO シネマズ特集上映
上映作品:『aftersun/アフターサン』『mid90s ミッドナインティーズ』
上映劇場:TOHO シネマズ ⽇比谷、 TOHO シネマズ なんば
上映⽇:2025年7⽉24⽇(木)
※上映時間は各劇場の公式サイトをご確認ください
料金:通常料金:3,300円/学生割引:1,700円(大学生以下が対象)
※割引不可、無料券不可
入場者プレゼント:特製ステッカーセット
『aftersun/アフターサン』
監督・脚本:シャーロット・ウェルズ(初長編監督作品)
出演:ポール・メスカル、フランキー・コリオ、セリア・ロールソン・ホール
配給:ハピネットファントム・スタジオ
思春期真っただ中のソフィ(フランキー・コリオ)は、離れて暮らす若き父・カラム(ポール・メスカル)とトルコのひなびたリゾート地にやってきた。輝く太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、親密な時間をともにする。20年後、カラムと同じ年齢になったソフィは、ローファイな映像のなかに大好きだった父の、当時は知らなかった一面を見出してゆく…。
© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
『mid90s ミッドナインティーズ』
監督・脚本:ジョナ・ヒル
出演:サニー・スリッチ、キャサリン・ウォーターストン、ルーカス・ヘッジズ、ナケル・スミス
配給:トランスフォーマー
1990年代半ばのロサンゼルス。13歳のスティーヴィーは兄のイアン、母のダブニーと暮らしている。小柄なスティーヴィーは力の強い兄に全く歯が⽴たず、早く大きくなって彼を見返してやりたいと願っていた。そんなある⽇、街のスケートボード・ショップを訪れたスティーヴィーは、店に出入りする少年たちと知り合う。彼らは驚くほど自由でかっこよく、スティーヴィーは憧れのような気持ちで、そのグループに近付こうとするが…。
© 2018 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.
長編アニメーション映画『この世界の片隅に』終戦80年を迎える今年、2025年8月1日より全国にて期間限定再上映

本作は戦時下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前を向いて生きる女性、すずを描いた珠玉のアニメーション映画。戦後80年という節目に、『この世界の片隅に』が全国で再上映されます。

『この世界の片隅に』
2025年8月1日テアトル新宿・八丁座ほか全国にて期間限定上映
監督・脚本:片渕須直
声の出演:のん/細谷佳正/稲葉菜月/尾身美詞/小野大輔/潘めぐみ/岩井七世/澁谷天外
配給:東京テアトル
すずは、広島市江波で生まれた絵が得意な少女。昭和19(1944)年、20キロ離れた町・呉に嫁ぎ、18歳で一家の主婦となったすずは、あらゆるものが欠乏していく中で、日々の食卓 を作り出すために工夫を凝らす。 だが、戦争は進み、日本海軍の根拠地だった呉は、何度もの空襲に襲われる。庭先から毎日眺めていた軍艦たちが炎を上げ、市街が灰燼に帰してゆく。すずが大事に思っていた身近なものが奪われてゆく。それでもなお、毎日を築くすずの営みは終わらない。そして、昭和20(1945)年の夏がやってきた――。
© 2019 こうの史代・コアミックス / 「この世界の片隅に」製作委員会
ホウ・シャオシェンの代表作にして台湾ニューシネマの金字塔!『冬冬の夏休み デジタルリマスター版』8月1日より新宿武蔵野館、渋谷ホワイト シネクイント、Strangerにて公開

日本の現代映画作家にも大きな影響を与えた台湾ニューシネマの旗手、ホウ・シャオシェン監督。彼の詩情が結実した初期の代表作である本作は、少年と少女が過ごすひと夏の時間を静謐なまなざしでとらえる。

『冬冬の夏休み デジタルリマスター版』
2025年8月1日より新宿武蔵野館、渋谷ホワイト シネクイント、Strangerにて全国順次公開
監督:ホウ・シャオシェン
キャスト:ワン・チークアン、リー・シュジェン、エドワード・ヤン、グー・ジュン、メイ・ファン、ティン・ナイチュ、チャン・ホン
配給:Stranger
1984年/98分/台湾
台北で暮らす小学校を卒業した少年、冬冬と幼い妹の婷婷。母の入院をきっかけに、ふたりは夏休みの間、厳格な祖父の住む田舎の家へと預けられ、祖父母とともに暮らすことになる。冬冬は、近所の同世代の子どもたちとすぐに打ち解け、遊びながらのびのびと日々を過ごす。一方、婷婷はふとしたきっかけで寒子という若い女性と出会い、交流を重ねていく。陽射しに包まれた風景の中、周囲の大人たちの会話に耳を傾けながら、ふたりの夏の日々が静かに過ぎていく―― 。
© CITY FILMS LTD.
三木聡監督✕上野樹里主演!長らく“幻”となっていた映画『亀は意外と速く泳ぐ』デジタルリマスター版として20年ぶりに復活!

人気連続ドラマ『時効警察』ほか数々の脱力系コメディを世に贈り出してきた三木聡がメガホンをとり、上野樹里、蒼井優、岩松了、ふせえり、松重豊、要潤らを豪華キャストに迎えて製作された映画『亀は意外と速く泳ぐ』が公開20周年を記念して、デジタルリマスター版として、8月8日(金)よりテアトル新宿より全国順次公開となります。

『亀は意外と速く泳ぐ』
2025年8月8日(金)よりテアトル新宿より全国順次公開
監督・脚本:三木聡
出演:上野樹里 蒼井優 岩松了 ふせえり 要潤 松重豊 村松利史 森下能幸 緋田康人 温水洋一 松岡俊介 水橋研二 岡本信人 嶋田久作 伊武雅刀
配給:アンプラグド
平凡な主婦の片倉スズメは、単調な毎日を送っていた。ある日、ふとしたことからスパイの仲間入りをする。スズメに下ったミッションは、目立つことはせず平凡に過ごすこと。別視点で物事を考える毎日は新鮮で、これまで気に留めていなかった日常の裏側に意識を向け始めると1日はあっという間に過ぎ去る。何の特別感もない日々を送っていたはずのスズメは、次第にヘンな人々に巻き込まれ、周囲ではおかしな出来事が立て続けに起こり、人目を引く存在に 。彼女のスパイ生活はどうなってしまうのか…?
伝説的作品、Jホラーの原点Vシネマ版『呪怨』『呪怨2』4K&5.1chサラウンド化、同時劇場公開!
誕生から四半世紀となる2025年。その“呪い”のはじまりともいえる〈Vシネマ版〉『呪怨』『呪怨2』の2作品がついに劇場のスクリーンに登場します。

『呪怨〈4K:Vシネマ版〉』『呪怨2〈4K:Vシネマ版〉』
2025年8月8日(金)より新宿バルト9ほかにて劇場公開
公式サイト

『呪怨〈4K:Vシネマ版〉』
監督・脚本:清水崇
出演:柳ユーレイ(現:柳憂怜) 栗山千明 三輪ひとみ 三輪明日美 藤貴子 吉行由実 松山鷹志 洞口依子
配給:東映ビデオ
2000年/日本/70分/5.1ch/スタンダード/カラー/DCP/映倫区分:G
不登校の生徒・佐伯俊雄の家庭訪問に訪れた担任の小林。俊雄の母、伽椰子は小林の大学時代の同級生であった。訪問した佐伯家には俊雄の姿しかなかったが、そこで目にした伽椰子の日記には、異常ともいえる小林への想いが綴られていた。その家の異様な空気の中、俊雄の両親を待つ小林の携帯に着信が入る…。時は移り――かつて佐伯親子が住んでいた家には、その後村上家が暮らしていた。長女の柑菜は従妹の由紀に家庭教師をしてもらっていたが、用事を思い出した中学へ向かう。一人残された由紀は、その家でただならぬ気配を感じる…。

『呪怨2〈4K:Vシネマ版〉』
監督・脚本:清水崇
出演:大家由祐子 芦川誠 藤井かほり 斎藤繭子 藤貴子 でんでん 諏訪太朗 ダンカン
配給:東映ビデオ
2000年/日本/76分/5.1ch/スタンダード/カラー/DCP/映倫区分:G
不動産業者の鈴木達也は、霊感のある妹・響子に買い手のつかない事故物件となった家を見てもらうが、そこは響子の想像を超えた気配に満ちた場所だった。だが何事もなかったかのように新たに北田夫妻が入居する。響子はその家にまつわる因縁めいた逸話を集めるが、同じころ達也の息子である甥の信之にも異変が起こっていた。離婚した達也が息子とともに越した団地のその部屋は、かつて小学校の教師、小林が妊娠中の妻と共に暮らしていた部屋だった…。
©東映ビデオ
1990年代名作上映「Filmarks 90’s」第11弾!『ライフ・イズ・ビューティフル』8月15日より2週間限定全国リバイバル上映

Filmarks(フィルマークス)主催のリバイバル上映プロジェクトにて、アカデミー賞®3部門を受賞し、数々の映画賞に輝いた感動の名作『ライフ・イズ・ビューティフル』が、8月15日(金)より、2週間限定で全国リバイバル上映されます。

『ライフ・イズ・ビューティフル』
2025年8月15日(金)より2週間限定上映
公開劇場:全国69館
監督:ロベルト・ベニーニ
脚本:ヴィンチェンツォ・チェラーミ、ロベルト・ベニーニ
出演:ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ、ジョルジオ・カンタリーニ、ジュスティーノ・デュラーノ、セルジオ・ブストリック、マリサ・パレデス、ホルスト・ブッフホルツ
1997年/イタリア/117分
配給:Filmarks
1937年、トスカーナ地方の小さな町へやって来たユダヤ系イタリア人の陽気な男性グイドは、美しい小学校教師ドーラと運命的な出会いを果たす。いつも陽気で機転のきくグイドにドーラも心を奪われ、やがて2人は結婚。息子ジョズエも生まれ家族は幸せな日々を送るが、第2次大戦で駐留してきたナチスによって強制収容所へと連行されてしまう。グイドは幼いジョズエに悲惨な現実を悟られないよう、「これはゲームだ」と偽り、ひたすら陽気に振る舞いながら嘘をつき続けるが…。
© 2025 Paramount Pictures
ゼロ年代を代表する青春映画の金字塔!『リンダ リンダ リンダ 4K』20周年記念リバイバル上映

2005年に公開した山下敦弘監督の映画『リンダ リンダ リンダ』。公開から20年経っても色あせるどころか、世界中にファンを増やし続ける珠玉の青春映画です。そしてこのたび、2005年の公開から20年の時を経て、4K デジタルリマスター版としてあの青春の思い出が蘇ります。

『リンダ リンダ リンダ 4K』
2025年8月22日(金)より、新宿ピカデリー、シネクイントほかにて全国公開
監督:山下敦弘
出演:ペ・ドゥナ 前田亜季 香椎由宇 関根史織 (Base Ball Bear)
公式サイト
文化祭前日に突如バンドを組んだ女子高生たち。コピーするのはブルーハーツ。ボーカルは韓国からの留学生!?本番まであと3日。4人の寄り道だらけの猛練習が始まった!
©「リンダ リンダ リンダ」パートナーズ
石井聰亙(現・岳龍)による伝説の爆走映画が再びスクリーンに蘇る!『狂い咲きサンダーロード』公開45周年記念特別復活上映

『爆裂都市 BURST CITY』『ELECTRIC DRAGON 80000V』などの傑作を生み、最新作『箱男』も大きな話題を呼んだ鬼才、石井岳龍(ex.聰亙)監督が、日本大学藝術学部映画学科在籍時、23歳の若さで卒業制作として発表したインディペンデント映画『狂い咲きサンダーロード』。日本が世界に誇る近未来バイオレンス映画であり、今なお伝説として語り継がれ、各界に影響を与え続ける本作だが、公開から45周年を記念して特別再上映となります。

『狂い咲きサンダーロード』
2025年8月22日(金)、シネマート新宿ほか全国順次復活上映
監督:石井聰亙
出演:山田辰夫 / 小島正資 / 中島陽典 / 劇団 GAYA / 南条弘二 / 小林稔侍
1980/日本/本編96分
暴走族“魔墓呂死”の特攻隊長・仁は、「市民に愛される暴走族」を目指す同輩や自分たちを取り込もうとする政治結社に反抗を試みた末、ついには右手を切断されてしまう。しかし、どん底に堕ちてなお抗うことをやめない彼は、バトルスーツに身を包み、幻の街サンダーロードで最後の決戦に挑むのだった!
© ISHII SOGO ALL RIGHTS RESERVED.
ヴィターリー・カネフスキー『ぼくら、20世紀の子供たち』『動くな、死ね、甦れ!』『ひとりで生きる』3部作一挙公開!

ヴィターリー・カネフスキー監督による1991年制作のドキュメンタリー映画『ぼくら、20世紀の子供たち』のデジタルリマスター版完成に伴い、同監督のデビュー作『動くな、死ね、甦れ!』とその続編『ひとりで生きる』をあわせた3部作が8月23日(土)よりユーロスペースほかにて全国順次公開となります。
「ヴィターリー・カネフスキー トリロジー」
2025年8月23日(土)よりユーロスペースほか全国順
配給:ノーム
公式サイト
<上映作品>
『動くな、死ね、甦れ!』★1990 年カンヌ国際映画祭カメラ・ドール受賞
監督・脚本:ヴィターリー・カネフスキー
出演:パーヴェル・ナザーロフ、ディナーラ・ドルカーロワ、エレーナ・ポポワ
【1989 年/ソビエト/モノクロ/105 分 】
舞台は第二次大戦直後、収容所地帯と化したソ連の炭鉱町。貧困、暴力、脅し、殺人…大人でさえ自分を守ることで精一杯な世の中を、危うげながらも逞しく生きる 12 才の少年ワレルカ。スケート靴の盗難騒動や、学校のトイレにイースト菌を入れたり、機関車を転覆させたりなど、彼の引き起こす無垢な、しかし、やってはならない悪さは、母親への反発と相まって次第にエスカレートしていく。そんな彼の前に、守護天使のように現れては、危機を救ってくれる幼馴染の少女ガリーヤ。二人に芽生えた淡い想いは次第に呼応していくが、やがて運命はとんでもない方向へ転じていくのだった…。
『ひとりで生きる』★1992 年カンヌ国際映画祭審査員賞受賞
監督・脚本:ヴィターリー・カネフスキー
出演:パーヴェル・ナザーロフ、ディナーラ・ドルカーロワ、エレーナ・ポポワ
【1991 年/フランス・ロシア/カラー/97 分 】
15才になったワレルカは、少年期に別れを告げようとしていたが、大人たちの世界はますます悲劇的な様相を呈し、ワレルカにとって唯一、ガリーヤの妹ワーリャと一緒にいる時だけが心落ち着く時だった。そんな中、ある事件をきっかけに学校を退学になったワレルカは、ワーリャの思いをよそに、ひとりで町を出る。故郷や家族と離れ、ひとりで生きるワレルカ。一方、残されたワーリャは、返事の来ないワレルカへの手紙を送り続け…。随所に幼さを見せながら、大人へと成長していく少年の微妙な心の風景を見事にスクリーン上で開花させた抒情溢れる傑作。
『ぼくら、20世紀の子供たち』(デジタルリマスター版)
監督:ヴィターリー・カネフスキー
出演:パーヴェル・ナザーロフ、ディナーラ・ドルカーロワ
【1993 年/フランス/カラー/84 分 】
国際的な評価を得たカネフスキーが次にカメラを向けたのは、社会体制が崩壊したロシアの都市に巣くうストリート・チルドレンたち。彼は、取材の最後に「何か歌を歌ってくれないか」と子供たちに要望する。窃盗、強奪、売春、そして殺人…残忍性をエスカレートさせていく彼らの裏側に傷つきやすい感受性を見るカネフスキー。やがてカメラは、思わぬ場所でワレルカの面影を残したパーヴェル・ナザーロフの姿を捉える。そして、2 本の映画で共演したのち、全く異なる人生を歩み成長していったパーヴェルとディナーラが再会を果たす。