3月15日より、「第2回新潟国際アニメーション映画祭」が開催されます。昨年3月の第1回映画祭は、世界で初の⻑編アニメーション中心の映画祭として、また多岐にわたるプログラムとアジア最大のアニメーション映画祭として、世界で大きな反響を呼びました。⻑編コンペティション部門の審査委員⻑を押井守氏が務め、大友克洋監督、片渕須直監督、りんたろう監督、渡辺信一郎監督、メカニック・デザイナーで漫画家、監督でもある永野護氏ら名だたるアニメ関係者がイベントに登壇するなど国内はもちろんのこと、アニメーション首都・新潟としての認知も世界へ広がり、今年の開催へ期待が高まっています。
長編コンペティション部門!珠玉の12作品が選出
『深海からの奇妙な魚』
世界的アニメーションスタジオ、カートゥーン・サルーンのノラ・トゥーミー氏が審査委員長を務める今回のコンペには、世界29の国と地域から昨年の2.5倍となる49作品が集まりました。選定委員は、矢田部吉彦氏(前東京国際映画祭シニアディレクター)、藤津亮太氏(アニメ評論家)、須川亜紀子氏(横浜国立大学教授/日本アニメーション学会会長)、矢野ほなみ氏(アニメーション監督)の4名のスペシャリスト達による厳しい審査を経て、珠玉の12作品が決定しました。
<長編コンペティション部門ノミネート作品>
■『深海からの奇妙な魚』
原題:Bizarros Peixes das Fossas Abissais
監督:マルセロ・マラオン(ブラジル)
変わった超能力を持つ女性、強迫性障害のカメ、雨漏りする雲が、深海への不思議な旅に出る。
■『コヨーテの4つの魂』
原題:Kojot négy lelke
監督:アーロン・ガウダー(ハンガリー)
舞台は現代。反対派は、彼らの祖先の土地から丘を下ったところにある石油パイプライン・プロジェクトの乗組員と対峙する。ネイティブ・アメリカンの創造神話に基づく壮大な冒険。
■『ケンスケの王国』
原題:Kensuke’s Kingdom
監督:ニール・ボイル、カーク・ヘンドリー(イギリス)
少年マイケルとその家族は、思い出づくりの船旅に。しかし激しい嵐が吹き荒れ、マイケルと愛犬ステラは離島に打ち上げられる。第2次世界大戦以来この島で密かに暮らしてきた謎めいた日本人ケンスケを見つけるが・・・
■『クラユカバ』
英題:KURAYUKABA
監督:塚原重義(日本)
今、世間を惑わす“集団失踪”の怪奇に、探偵・荘太郎が対峙する! 目撃者なし、意図も不明。その足取りに必ず現る“不気味な轍”の正体とは…。手がかりを求め、探偵は街の地下領域“クラガリ”へと潜り込む。
©塚原重義/クラガリ映畫協會
■『アリスとテレスのまぼろし工場』
英題:maboroshi
監督:岡田麿里(日本)
製鉄所の爆発事故により出口を失い、時まで止まってしまった町で暮らす14歳の正宗。ある日、気になる存在の謎めいた同級生・睦実に導かれ、製鉄所の第五高炉へと足を踏み入れる。そこにいたのは言葉の話せない、野生の狼のような少女・五実――。二人の少女とのこの出会いは、世界の均衡が崩れるはじまりだった。
©新見伏製鐵保存会
■『マントラ・ウォーリアー ~8つの月の伝説~』
原題:นักรบมนตรา: ตำนานแปดดวงจันทร์
監督:ヴィーラパトラ・ジナナビン(タイ)
500年ごとに、神聖な力を持つ女性が生まれる。彼女はすべてのものを創造または破壊する力を持っていた。ヴァナラの8つの月が整列するとき、キング・トッダサカンはこの奇術の力を求め、宇宙の運命をかけるーー
■『マーズ・エクスプレス』
原題:Sur le Pont
監督:サム&フレッド・ギヨーム(スイス、フランス)
天と地を結ぶ吊り橋へと向かう不思議な列車に乗り込んだ男女。ある者は自分がなぜここにいるのかを理解しようとし、ある者は希望と恐怖について語り、ある者は地上の思い出を語る。
■『スルタナの夢』
原題:Sultana’s Dream
監督:イザベル・エルゲラ(スペイン)
インドに住むスペイン人画家のイネスは、1905年にロケヤ・ホサインが書いたSF小説『スルタナの夢』を偶然目にする。女性が国を支配し、男性は隠遁して家事を担当するユートピア、レディランドが描かれていた。イネスはこの物語に魅せられ、女性が平和に暮らせる場所を探す旅に出る。
■『インベンター』
原題:The Inventor
監督:ジム・カポビアンコ、ピエール=リュック・グランジョン(アメリカ)
“飽くなき好奇心と強気な発明家レオナルド・ダ・ヴィンチはイタリアを離れ、フランスの宮廷に入る。空を飛ぶ仕掛けや驚くべき機械を発明したり、人体を研究したりと、束縛されない日々。大胆な王女マルグリットと共に冒険を繰り広げながら、レオナルドは究極の問いへの答えを発見する。
■『アザー・シェイプ』
原題:La otra forma
監督:ディエゴ・フェリペ・グスマン(コロンビア)
疑う奴はスクエアパラダイスに入るな!近未来、人類は月面に楽園を築いた。この場所に入るには、文字通り頭が四角でなければならない。正方形になるか、それとも自分の中にある真の形を解き放つかというジレンマに直面する・・・
■『アダムが変わるとき』
原題:When Adam changes
監督:ジョエル・ヴォードロイユ(カナダ)
周りの人たちからの嘲笑や否定的な発言で、身体が変化するという奇妙な特異性を持つティーンエイジャー、アダム、15歳。変化に変化を重ね、ただでさえ複雑な彼の人生はどんどん複雑になっていく!
レトロスペクティブ 高畑勲特集
レトロスペクティブ部門では、今年は『かぐや姫の物語』『火垂るの墓』などの傑作で、2018年の逝去後も世界のアニメーション界に大きな影響を与え続ける高畑勲をピックアップ。スタジオジブリ時代だけでなく、東映動画(現東映アニメーション)での長編デビュー作『太陽の王子 ホルスの大冒険』をはじめ全長編アニメーション監督作品を上映。TVアニメの監督デビュー作となる『狼少年ケン(第14話)』や、長年高畑作品に関わってきたプロデューサーをはじめ、関係者トークも交えてそのキャリアを検証し辿ります。
『かぐや姫の物語』
© 2013 畑事務所・Studio Ghibli・NDHDMTK
<上映作品>
『太陽の王子 ホルスの大冒険』
『パンダコパンダ』
『パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻』
『劇場版「赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道」』
『じゃりン子チエ』
『セロ弾きのゴーシュ』
『火垂るの墓』
『おもひでぽろぽろ』
『平成狸合戦ぽんぽこ』
『ホーホケキョ となりの山田くん』
『かぐや姫の物語』
<TVアニメ特集>
『狼少年ケン』
『母をたずねて三千里』ほか
【関連トーク】
◆3月17日(日)「高畑勲と『セロ弾きのゴーシュ』を巡って」
登壇:なみきたかし(アニメーションプロデューサー)×才田俊次(アニメーター)
◆3月17日(日)「(高畑勲)の『かぐや姫の物語』とそれ以後」
登壇:高橋望(MC) ×西村義明(スタジオポノック代表取締役)×櫻井大樹(サラマンダーピクチャーズ代表取締役)
◆3月19日(火)「高畑勲という作家のこれまで語られていなかった作家性」
登壇:片渕須直(アニメーション映画監督)×横田正夫(日本大学文理学部心理学科特任教授)
大川博賞・蕗谷虹児賞決定
技術的貢献に対するアワードで、今年は蕗谷虹児賞にクリエイター(アニメーター/美術/脚本)3名と大川博賞にアニメスタジオひとつを顕彰いたします。
『アリスとテレスのまぼろし工場』
© 新見伏製鐵保存会
<第2回新潟国際アニメーション映画祭 蕗谷虹児賞 受賞者>
■東地和生 (美術監督)
『アリスとテレスのまぼろし工場』英題:maboroshi
監督:岡田麿里 作品時間:111 分
© 新見伏製鐵保存会
■本田雄 (作画監督)
『君たちはどう生きるか』英題:The Boy and the Heron
監督:宮﨑駿 作品時間:124 分
© 2023 Studio Ghibli
■丸尾みほ (脚本)
『かがみの孤城』 英題:Lonely Castle in the Mirror
監督:原恵一 作品時間:116 分
© 2022「かがみの孤城」製作委員会
<第2回新潟国際アニメーション映画祭 大川博賞受賞>
■アニメーション制作スタジオ CLAP
『映画大好きポンポさん』 英題:POMPO: THE CINEPHILE
©2020 杉谷庄吾【人間プラモ】/KADOKAWA/ 映画大好きポンポさん製作委員会
「第2回新潟国際アニメーション映画祭」開催概要
英語表記:Niigata International Animation Film Festival
会期:2024年3月15日(金)~20日(水)
公式サイト 公式YouTube
主催:新潟国際アニメーション映画祭実行委員会
企画制作:ユーロスペース+ジェンコ